38  旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい

旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい
東京都世田谷区の旗竿地に計画した狭小都市型木造二階建ての住宅です。
旗竿地で克服しなければならない採光と通風の問題をどのように解決するか、そして囲まれているが故に内側に集束していく視線をいかに開放してゆくか、その解を明らかにしようとした計画案です。


光と風がつくる視線の動きと空間の息吹

一階から二階に上がってきたときに目に入る正面の本棚に導かれて、視線はその奥のキッチンへ、そしてその先の窓の光へと向かいます。そして視線はそのまま傾斜した天井に沿って上がって行きます。天井にはルーバー付きの天窓。その先には鮮やかな緑色の壁面と高窓。さらに視線は移動して、その脇の室内に侵入してきた光庭のようなテラスに行き着きます。テラスの先には囲まれた小さな庭と広がる空があります。
この視線の動きと、空間全体に流れと動きを与える採光と通風が連動します。この息吹が室内全体に生き生きした雰囲気をもたらすのです。

温かみのあるリラックスしたラウンジ=ライブラリー

生気に満ちた光、穏やかに抜けていく風、そんな自然な心地よさを持つラウンジ=ライブラリーが生まれます。そしてそこで得られる温かみのあるリラックスした時が、ここに住まう家族を包み込んでいく、そんな住まいです。


旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい 室内空間イメージ
旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい 配置と1階平面計画
旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい 2階平面計画と室内のイメージ
旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい 断面計画と室内のイメージ
旗竿地に建つ光と風に包まれるライブラリーのある住まい 外観の計画
敷地は旗竿地。ぐっと奥まった場所ですが、敷地周囲を調査してみれば、北側隣地に豊かな植栽を持つ空間的広がりがあること、南東側に近隣4棟による共有オープンスペースが設けられることがわかります。これらの敷地周辺環境を生かし、光と風の流れを計画します。

二階への階段を上ると正面に壁面いっぱいの本棚が続きます。この部分の高さは、2.0m。その先にはキッチンがあり、北側の穏やかな光が目に入ります。

テーブル上部にはトップライト。光はルーバーにより拡散されます。自由に使える広々とした大きなテーブルは、本を読んだり、勉強をしたり、食事をしたりするスペース。南東の壁は気持ちの良さそうな緑色の壁面です。高さは3.6m。ここに高窓を一ヶ所設けます。その下にはゆったりとしたソファとスタンド。その脇にも本棚を設けています。この本棚の向こうにユーティリティーを配置します。

階段側を振り向くと、その先にはラウンジに引き込まれたテラス。南東側の明るい光や、心地の良い風をラウンジに引き込みます。テラスへはソファ脇から直接出入りします。高さ1.8mの壁で囲まれた落ち着いた庭のようなスペース。テラス上部の屋根の孔から空や雲が見え、自然の変化を感じることができる庭のようなテラスです。

このテラスからの豊かに変化する光と、トップライトからの光が、ラウンジを生き生きとしたスペースにします。

一階には、親の書斎コーナーと子供の机コーナーが一続きにつながるスペースを設けました。収納、寝るための場所、学ぶ机があるところが明確にゾーニングされたコンパクトなプランです。