34 光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家


光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家


神奈川県茅ヶ崎市に計画した木造三階建ての住宅です。
街なかに再開発された分譲地、その奥のつきあたりに計画した、夫婦と二人の子供のための住まいです。周りの昔からある住宅もこれから建つであろう住宅とも、お互いに接近した状況になることは予想されます。そうなると積極的に開けていけるのは進入路方向です。しかしこれにそのまま向かうのは少し直接的すぎる、そんな印象を敷地を現地で確認した時に感じました。周囲にうまく馴染みながら快適な住居環境を獲得する必要がありました。

三つのブロックに分節した立面

進入路側からの立面を三つのブロックに分節します。これにより、周囲の家々とのスケール感を馴染ませ、この住宅のボリューム感を和らげます。またそれぞれのブロックの面を少しずつずらしたり向きを変えることによって、その輪郭を穏やかなものに変えます。

合理的でコンパクトな生活動線

平面計画は、階ごとのシンプルなゾーニングにし、生活動線も合理的・コンパクトにまとめることにより、抑揚のある住空間が生まれるようにします。また開口部の位置や大きさについても、視線の向きや光量などに配慮しながら、検討を進めます。

表情豊かな光や風が通り抜けていく

南に向かって設けたバルコニーとリビング・ダイニング・キッチンは、光と風が描く明るく開放的でゆったりとした空間です。そこを表情豊かな光や風が通り抜けていきます。朝日の入る窓、バルコニーへと続く大きな窓、印象的な光がソファーの前を照らす窓。光と風のシークエンスは、様々なくつろぎの時をもたらします。

明確なゾーニングと合理的なプランニングに裏打ちされながらも、毎日の暮らしが絵になるような、そんな住まいの計画です。



光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家 内観イメージ
光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家 平面計画1階
光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家 平面計画2・3階 内観イメージ
光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家 内観イメージ 断面計画
光と風のシークエンスをもたらす三階建ての家 立面計画
市街地で再開発された住宅地に立地しています。私道の突き当たりに位置し、南角のみが接道する不整形な敷地です。建物を建てる位置を検討するに当たり、以下の点について配慮しました。2台の車が、お互いに各々自由に出し入れできるようにします。またそのうちの1台については、乗り降りや荷物の出し入れのときに、雨に濡れずに済むように配慮します。

近隣の建物は、いずれも多くの窓が計画建物の方を向いているので、なるべくそれらと向き合わないよう考慮します。また法的な制約ではありませんが、北東側隣地に対して極端な日影をつくらずに済むよう、3階部分(子供部屋)は南西側に設けます。

バルコニーとL・D・Kを南側に配し、ユーティリティーをこれに隣接した北側に配しました。生活動線に配慮し、無駄の無いプランニングとしました。浴室には壁に囲まれた屋外のバスコートを設け、浴室をリラックスできる空間としました。またバスコートは、L・D・Kへの採光と通風にも重要な役割を果たします。

玄関引戸脇には、荷物を置いたり腰掛けたり、植物を置いたりできるベンチを設置し、広々とした玄関を計画します。玄関脇に収納を設け、靴などはこの中に、棚等を設けて収納します。一階には客室・寝室・書斎を設けます。客室正面には、少し目線を下げる窓を設け、その先に庭をつくります。客室を玄関の延長として開放しておくことも考慮しました。寝室と書斎は本棚によって仕切ります。書斎には本棚や机、ベンチプレスを置ける十分な広さを確保します。北西に向いた窓は高窓となっており、その下にも本棚を置きます。

二階にはリビング・ダイニング・キッチンと水周りを設けます。南側に向かって設けた大きな窓から、太陽の光が採り込まれる明るい室内です。窓の先にゆったりとしたバルコニーが連続します。ソファーの上に設けたトップライトからは朝の光が、階段脇の窓からは午後の光が印象的に差し込みます。背面の収納スペースには、食器や食品庫、調理家電、ゴミの分別などが可能な棚を設けます。浴室はバスコートに面して窓を設けた開放的で気持ちの良い空間です。壁で囲んだバスコートが、周囲の視線を気にせず光と風を浴室内に採り込むことを可能にします。

三階には子供部屋を設けます。太陽の光が十分入る、明るく、すがすがしい、健康的な子供部屋です。将来二つの部屋に仕切ることも可能としました。