45 住宅密集地につくる通り庭のある二世帯住宅


住宅密集地につくる通り庭のある二世帯住宅

横浜市磯子区の住宅密集地に計画した木造二階建ての二世帯住宅です。
敷地は緑道のような細い小道に面しています。ここに神奈川県産の木材を使用して家を建てたいということ。また、当面は親戚や近所の人が集まって飲んだり食べたりくつろげる場所として使い、将来はもう一世帯住むことができるスペースをつくりたいということでした。隣接した北側の別の家には親戚の方が住まわれていて、そちらとの行き来についても考慮したいとのことでした。

通り庭のような土間が導くさまざまな住まい方

周囲は建て込んでいて敷地は不整形、厳しい与条件のなかでの計画です。北側の隣家へぬける通り庭のような土間を持ち、多目的な二世帯住宅であるという特徴が、様々な使い方を導き・許容する素敵な住まいを生み出します。


自然な風通しと採光、木の香りがする心地よい家

自然な風通しと採光を得るために、窓などの位置には十分配慮して計画します。また県産の木材をさまざまな部位に使用することで、木の香りのする居心地の良い場所をつくります。



住宅密集地につくる通り庭のある二世帯住宅
住宅密集地につくる通り庭のある二世帯住宅
神奈川県産の構造部材を使用した木造軸組み構法の家です。南側外壁の一部や内部の床にも県産すぎを使用します。無垢の木とつきあっていくには、手間と時間が必要ですが、その分得られるものも少なくないはずです。

建物は、通り庭のような玄関を挟んで、二つに分けられています。一方はリビング・ダイニング・キッチン、もう一方は別世帯あるいは予備室として使ったり、客間や広間として大勢が集まることができる独立した部屋になっています。必要に応じた可変性のある住まい方が可能な家です。

この二つをつなぐ土間は、プライベートとパブリックを<分け・つなげる>場所であり、さらに障子戸の開閉によって、室内の広さを調節する役割を担います。寒い季節は小さな部屋に、気持ちのよい季節は全体をつなげて広々とした部屋にすることができます。土間は大勢の来客に対しても十分な広さです。リビング・ダイニング・キッチンと土間の吹抜は、2階の子供室・ホールと引き戸を介してつながっています。外デッキのある南からの心地よい風は吹抜に導きかれ、高窓をとおり、そして子供室やホールを経由しながら北に抜けていきます。

1階に設けた水周りとキッチンにより、1階だけで生活を成り立たせることも可能です。これは将来のバリアフリーへの配慮です。また水周りとキッチンを近接させ、コンパクトな日常動線となるよう計画しました。キッチン周りは造作家具として製作します。必要な要望、使い勝手に応じた細やかな対応が、造作する家具によって可能になります。